Eric Foster

 あなたの指名に家令は微笑んだ。

「エリック・フォスター――見事な犬ですよ。いわばウルフ・ドッグですな」

 彼は端末で犬を手配しながら、

「もともと剣闘士用に仕入れた犬ですが、ヴィラの判断で、パトリキのお客様にお味見いただけることになりました」

 ただ、少々――と言葉をにごす。

「ただ少々問題を起こしておりまして。
一度お客様が指名したのですが、まだ破瓜はしておりません。少々じゃじゃ馬でして、係りにも怪我人が出ています。遊ぶ際にはご注意ください」

 ヴィラの客が手控えるとは、よほど馴らしがたい犬なのだろう。
 そんな犬を屈服させるのは愉しい。

「お待たせしました」

 アキレウスのような金髪の偉丈夫が現れた。
 あなたの調教を手伝うアクトーレス〔奴隷監督〕である。

「仔犬館へご案内します。どうぞこちらへ」


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