グリューン
  ポンティフェクス・ふみ・コバシウス様作品



 グリューン 


 少年は、落ち着かない様子で座っていた。
 透けるように白い肌、黒い髪は絹糸のようで、美しく整った顔は憂いを帯びて沈んでいる。カールした睫毛に縁取りされた大きくしっとりと塗れた瞳は黒く、そしてよく見ると深い緑だった。
 少年がこの屋敷に入ってすぐ着替えさせられた衣服は、まるであらかじめサイズを測っていたかのようにぴったりだった。
 フリルのついた白いブラウス、黒いビロードの半ズボン。白いハイソックスに黒い革靴。
美しい少年にその衣装は良く似合った。その姿は、まるで陶器の人形が血肉を持ってこの世に現れたかのようにも見える。
 彼の新しい保護者である公爵の住まいは、中世から残る古城だった。
 高い天井、暗い照明、薄い闇の中にひっそりと掲げられたひび割れた絵画。部屋の隅に置かれた彫刻や花瓶も家具も、古びて見える敷物も、金額に換算すると驚くような値がつくだろう。
 時を止めたような豪奢な部屋の中で、少年はただ一人、不安と孤独に耐えていた。
 やがて、少年は何度目かのため息をつくと、柔らかいソファに身を沈めて、いつも共にある年上の従者のことを思った。彼はここにはいない。前室でおそらく少年よりもっと落ち着かない様子で待っていることだろう。
 黒い巻毛と、黒い瞳、やせっぽちで背ばかりが高い彼は、ロマの民(ジプシー)だった。唯一の友であり、家族である彼を思い少年はふと緊張を解いて微笑んだ。
 少年はまだ幼かった。従者である彼もまた、青年には程遠かった。これから少年を待ち受ける運命をもし二人が知っていたとしても、それを防ぐ手立てはなかっただろう。
 やがて重い扉が開いて、城の主が姿を現した。古い木のきしむ音は、まるで悲鳴のようだ、とエーミールは思った。
「緑(グリューン)の目には魔物が住むという」
 公爵は深い皺に埋もれた目を光らせると、エーミールの顎をとった。
「魔物とはなんと美しいものか」
 エーミールは震える身体を懸命に押さえつけ、公爵を見ていた。その目の奥に潜む欲望を、少年は本能で知っていた。
 ゴラン、とエーミールは心の中で叫んだ。唯一無二の友である、彼の従者を。ゴラン。僕に力を。屈辱にも、苦痛にも耐える力を。


 エーミールの父親はヨーロッパで最も古い家のひとつであるバートリ家の当主だった。アメリカの大富豪の娘と結婚したが、放蕩が過ぎて追い出された。元妻は、既に決まっていた別の貴族の男との再婚に支障を来たすことを恐れ、莫大な慰謝料を払った。
 ヨーロッパに舞い戻った伯爵は、今度は母国の由緒正しい貴族の娘と結婚した。令嬢はもちろん、伯爵の持つ莫大な慰謝料が目当てだった。愛などかけらもなかった。その間に生まれたのがエーミールである。
 伯爵は放蕩を尽くし、慰謝料は瞬く間に使い果たしたが、元妻に無心した。元妻は面倒を厭い、黙って元夫に金を与え続けた。彼女の莫大な資産はそのくらいではびくともしなかった。
バートリ伯爵夫人は、その名よりも、実家から受け継いだ女公爵の名で呼ばれることを好み、夫に負けない放蕩を尽くした。
 それでもなんとか体裁はついていたのだ、アメリカの富豪令嬢が急死するまでは。その後の墜落は早かった。
 エーミールの母親は、色情狂だった。常に男たちを必要とした。しかし、東欧の真珠と呼ばれた容姿は荒淫のため早くに衰え、破産した彼女から愛人たちは速やかに去った。彼女の尽きせぬ欲望を満足させるための相手は、場末のいかがわしい通りで見つけるしかなかった。そして、ある日支払いを渋った彼女は、強盗に早変わりした男娼に刺されて死んだ。
 母の実家や親戚がもみ消し、新聞沙汰にはならなかった。エーミールの知らないところで母は埋葬された。
 給金も払えない主家を見捨て、使用人たちは次々にやめていった。
父親の財産の中で最後に残った小さな田舎の屋敷でエーミールの世話をしてくれたのは、曽祖父の代から伯爵家に仕える老いた執事だった。わずかに残った伯爵家の財産をやりくりして、エーミールと、そしてある日屋敷の前で行き倒れていたロマの少年、ゴランを拾って育ててくれた。
 エーミールは賢く、性質のよい子供だったし、なにより老執事の記憶に残る「立派な貴族」であったエーミールの曽祖父によく似ていたから、老人は真実エーミールを慈しんで育ててくれた。
 また、老人の言うところの「卑しい民」であるゴランも、生まれや育ちに関わらず、素直で我慢強く、賢い子供だった。老人は口ではゴランに冷たくあたったが、実際のところは温かくその成長を見守った。
 老人が彼等二人に与えてくれたものは、計り知れない。ある日突然倒れ、そのまま帰らぬ人になるまでは。
 老人はすでに充分老いていた。百に届く歳は、大往生と言えるだろうが、二人にとって庇護者を失うにはまだ早すぎた。
 老執事の仕事を受け継いだ男が、僅かに残った財産を持ち逃げしたのはそれからすぐのことだった。
 それでも、屋敷は残った。小さな村のはずれにひっそりと立つ館と、亡き執事が残したささやかな現金が僅かに残された彼等の全財産だった。
 ロマの少年は小さな主のために自分の食事を削って与え、自分は一日歩いて町に出、食事付きの日雇いの仕事をした。僅かな給金で得られる食料は、育ち盛りの少年二人を養うにはまったく足りなかった。
 彼等はいつもひもじい思いをした。豪華な銀の食器に、ほんのわずかな固いパンをのせて彼等はそれでも礼儀正しく食事をした。
 長い冬をすごすための燃料は買えなかった。森に入って薪を集めたが、少年たちだけでは充分な量を取って来ることはできなかった。
 彼等は冷え切った室内で、ありったけの服を着て抱き合って眠った。
どんなつらい日々が続いても、小さな主は決して弱音をはかなかったし、ロマの少年も不満を口にすることはなかった。
 そんな日々が続き、少年たちがやせ細り、青ざめた顔で屋敷に篭っていることに村の役人が気づいた頃、債権者たちがやってきた。
 父である伯爵が、場末の売春宿で冷たくなっているのが見つかっていたことをエーミールは彼等によってはじめて知らされた。そして、母と同じように、その死は公になることなくもみ消されたことも。
 債権者たちがあまりに幼い相続人にとまどっている間に、一人の老人がその小さな村に降り立った。
 莫大な富を持つその老人は、由緒ある公爵家の名を告げ、自分はバートリ家の遠縁にあたるのだ、と言った。エーミールの古く高貴な血を共有するはずの親戚たちは、借金だらけの伯爵家と関わることを恐れ、誰もエーミールの元にはやってこなかった。
 老人が最初で最後の訪問者だった。
 公爵は、最も古い高貴な血を引く直系であるエーミールを引き取りたい、と言った。身寄りのない自分の後継者にもしたいのだ、と。
「バートリ家の末裔をこのままにはしておけません。私の爵位などはこの高貴な子供には必要ないでしょうけれど、少々増えたとて気にもならないでしょう。」
 エーミールの両親が残した莫大な借財は自分が肩代わりしよう、と老人は債権者たちに告げ、すぐに小切手を切り、彼等を早々に追い払った。
「バートリ家の財産も、すべて取り戻してあげますよ。一族の領地も屋敷も、成り上がりのどこの馬の骨とも知れぬ輩が手にしてよいものではないですからね」
 老人は枯れ木のような手を伸ばし、エーミールの髪に触れた。それは、どこか淫靡なものを含んでいたが、エーミールは黙って耐えた。
 老人は世界大戦を生き抜き、侵略者たちの間を泳ぎ、へつらい、騙し、迫害者から搾取し、悪魔の所業で財産を護り、なおかつ増やすことさえしていた。老人が、欧州の悪魔などとひそかに囁かれていることをエーミールたちが知ったのは、ずっと先のことだったが、確かにエーミールにはわかっていた。
 老人がただの親切でエーミールを庇護しようとしているわけではないことを。
 公爵は、すべてが終わってから到着した役人に、エーミールとゴランを引き取る旨を告げ、自分の弁護士に引き合わせた。そして、その日のうちに二人の少年はその小さな屋敷を引き払った。
 メッケル子爵、と公爵はエーミールを呼んだ。公爵の持つ多くの爵位のうち、嫡子に公爵位を継ぐまで与えられる称号だった。父が亡くなった今、エーミールこそがバートリ伯爵であったけれども、公爵は言った。
 ―高貴な爵位を継ぐには、それにふさわしい器が必要です。お前が高貴な魂と身体を持つまでは、私の養子、我が公爵家の小さな後継者として扱いましょう、と。


 公爵の手が衣服を引き裂くのを、エーミールは他人事のように見ていた。それは、公爵の手がエーミールの体中をくまなく触れた時も、鋭い鞭の一撃が無垢な身体を襲った時も変わらなかった。
 これも小さな後継者としての仕事なのだ、とエーミールはぼんやり思った。エーミールにできることはただ、受け入れることだけだった。そして、ゴランにできることは、ただ、待つことだけだった。
 今でも、彼らはその夜のことを思い出す。月さえもない、暗い、暗い夜だった。




 エーミールはふと白昼夢から目覚めた。
 珍しい、と思う。
 月のない夜に寝苦しさと共に蘇ることはあっても、明るいオフィスでかつての記憶に心を囚われることはあまりない。
 様々な名誉職は、貴族が好んでつく職業のひとつだが、エーミールにとってはたいした価値もない。わざわざニューヨークまで出向いてきたのは、もちろん他に目的があったからだが、少々彼にしてはタイトなスケジュールを組みすぎたかもしれない。
 エーミールはため息をつくと、立ち上がろうとしてふらつき、再び椅子に沈んだ。
「エーミール」
 見ると、ゴランの黒い瞳が気遣わしげにエーミールを見ていた。
幼いころから共にある忠実な従者は、すらりとした背をかがめると、額をエーミールの額につけた。
「熱はないようだが、疲れているのか」
 いや、と答えると、ゴランの顔をじっとエーミールは見つめた。
 幼い頃は、ただぎすぎすと痩せた子供だったが、ある時から急にゴランは変わった。背が伸び、ほどよい筋肉がつき、逞しい体躯が形成された。目ばかりがぎょろぎょろしていた顔立ちにはスラブ系の血が色濃く現れ、エキゾチックな美貌が出現した。手入れをしない巻毛は、鳥の巣のようになっていたものだが、いつしか艶やかな直毛になった。
そして、エーミールばかりでなく、ゴランにも厳しく躾けられた行儀作法と教育のおかげで、今の彼は誰が見ても納得する優雅で美しい青年だった。
 もちろん、エーミールも、少年の頃の人形のような美しさとは異なるものの、今でも圧倒的な美貌を誇った。東洋と西洋の狭間にあるような面差しはどこにいても人の目を引いた。そして、白人男性としては少々華奢な体格さえもエーミールの魅力のひとつだった。
 本来二人で並ぶと、彼等は一対の絵のように美しかった。けれども不思議と、エーミールの側に控えている時のゴランはまるでその時だけすべてのオーラを消し去ったように目立たない影のような存在になった。それには理由がある。
 公爵は、エーミールの従者に特別興味を示さなかったが、ある日、自分の護衛を担当する男にゴランを訓練するよう命じた。
元は軍の特殊部隊訓練施設の教官だったというその男は、ゴランに徹底的に自分の技術を叩き込んだ。ゴランは賢く、運動神経もずば抜けており、良い生徒だったから、男の指導にも自然と力が入った。
最後に二人が男と会ったのは随分前だったが、男はゴランに言った。お前は私の最高の生徒だった。お前のような人間を私は祖国のために育てたいと思っていた。お前が軍人として国に仕えるのではなく、一人の人間に仕えるというのも皮肉なものだ、と。
そして今もゴランはエーミールの側にある。
「今日は失礼しよう。アルフレッドも気にはしないさ」
 ゴランの言葉は最後まで紡がれることはなかった。エーミールの柔らかな唇がその唇を覆っていたから。
「大丈夫」
 しばらくして、エーミールは唇を離して言った。ゴランは、黙ってエーミールを抱擁した。あの幼い日から、常にしてきたように。




 エーミールが公爵の元へ引き取られて数年が過ぎた。
 公爵は少年だけを愛する性質を持っていた。自分への執着が長く続かないことをエーミールは知っていた。しかし、少年期の終わりを迎えようとしているエーミールの美しさはいっそう際立っていた。公爵の執着からはしばらく逃れられないだろう。
 公爵の執着から離れることをエーミールは望んでいたが、同時に不安でもあった。
 老人はエーミールの後見人であり、成人するまでのすべての責務を負っていた。また、バートリ伯爵であるエーミールを正式な養子にすることはなかったが、自らの爵位と領地、財産を譲渡する手続きをすませていた。
 それでもエーミールの不安は消えなかった。少年でなくなった彼を公爵は放逐するかもしれない。
 しかし、それを望んでいるのか望んでいないのか、今のエーミールにはよくわからなかった。
 公爵の貴族教育は完璧だった。
 そしてエーミールは、その血にふさわしい高貴さを確かに受け継いでいた。屈辱に震えながら、高いプライドは維持されていた。
 自分の受け継ぐ血に対する強い矜持、貴族としての自分、そのアイデンティティ。
 公爵の庇護から離れて、バートリ家の嫡流としての責務を果たせるとは思えなかった。
 けれども、同時に、公爵の奴隷として苦痛と快感に喘ぐ自分もまた、バートリ家の嫡子としてふさわしくはなかった。
 エーミールは、出口の見えない袋小路にはまっていた。

 そんな時に、彼はやってきた。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
 フランス語だ、とエーミールは思ったが、すぐにそれは流暢なドイツ語へと変わった。
 褐色の肌の少年は、エーミールより僅かに背が高かったが、ゴランよりは低かった。
公爵の玩具にしては、少々年がいきすぎているようだった。また、少年は美しかったが、公爵の好む中世的な人形のような美しさとは異なっていた。
 すでに青年の美しさを持つその少年はファビアンと名乗った。
 公爵の元には、世界中の少年が入れ替わり立ち代りやって来た。
 彼等は一定期間公爵の玩具となり、去っていった。たまに望まれて公爵の特別な友人たちに引き取られるものあったが、多くは解放された。みな五体満足だった。
 エーミールが当初思ったより公爵は残虐な人間ではなかった。
 公爵に連れられていったパーティーでは、処刑や残虐な拷問を見ることもあったが、公爵家ではそのようなことは行われてはいなかった。
 もちろん、公爵にまったく嗜虐の趣味がないわけではない。エーミールはそれを身を持って知っていた。
「本当にきれいな方ですね。公爵が自慢なさっていただけのことはある」
 舐めるような視線にエーミールは不快に思い、横を向いた。
 ファビアンはそんなエーミールを見て微笑んだ。高慢で美しい少年を、ファビアンは気にいったようだった。
「ああ、すみません‥あなたのような方を見るとつい、その、観察して、評価を下したくなるのですよ。僕はあなたに感謝しなくてはならないというのに」
 え、とエーミールはそっぽを向くのをやめて、きょとん、とファビアンを見た。そうすると、歳相応の少年らしい無邪気さがエーミールをいっそう愛らしく見せる。ファビアンは嬉しそうに笑った。
「僕、赤の館にいたんです。ところが、少々トラブルがありましてね。館の主と諍いを起こしてしまって‥たまたま来られていた公爵がそろそろあなたに主人としての心得を教えたいとおっしゃって、僕をひきとってくださったんですが、もしあのまま館にいたら、今頃この世にはいなかったかもしれないですね」
 赤の館は、そこで行われるパーティーが文字通り赤く染まることが多いためそう呼ばれていた。残虐な遊びを楽しむ趣味の悪い集まりだ。公爵も付き合いに顔を出す程度にすぎない。
ファビアンは美しい顔をしかめて続けた。
「赤の館の主のお気にいりの奴隷の一人が、僕の責めの最中に死んじゃってね。主の楽しみのために細く長く生かしておくはずだったんですが」
 少年が、その若さに関わらず、調教師として雇われていたのをエーミールは知った。
「その子は、たいそうなお気に入りだったもので、いつにも増してひどい苦痛をリクエストされてしまって、さすがの僕もしのびなくってね‥ちょいと加減を間違えたようには見せたんだけどな。あの悪魔もなかなか食えない男だったから」
 かつての主人に対しても、ファビアンは容赦がなかった。
 なんでそんなことをしたか聞きたいですか?とファビアンは言った。エーミールが応える前に、彼は続けた。
 その奴隷はね、僕の同胞だったんですよ。ご丁寧に僕の父親と同じ名前だったし。
「同胞?」
 エーミールは少し不思議に思って聞いた。同じ国の人間ということなのか、あるいは彼も古い一族の出身なのだろうか。命をかけるほど価値のある同胞とは、どういうものだろう。
「アルジェリアの?」
 それまでただ黙ってエーミールの側に控えていたゴランが不意に言った。
「そうですよ。よくわかりましたね」
「お前のフランス語には少し訛りがある。アルジェの人間が使うフランス語に似ている」
 ゴランはいまでは様々なことに精通していた。特殊期間の男は持てるすべてをゴランに伝授していた。
 ファビアンは微笑んだ。しかし、その微笑は今までのものとは違っていた。底冷えのするその笑みは、彼の中の残酷を明らかにし、彼が確かに調教師であることを示していた。
「アルジェの人々は陽のあたる西ヨーロッパにありながら、公然と迫害されてきました。宗主国の核実験の場にさえなったんですよ。世界はそれを見て見ぬふりをしてきました。今でこそアルジェリアは独立国家として存在していますが、今度はアルジェリアから追い出され、かつての宗主国でひどい差別に苦しむ人々もいる。どちらにしても、救われませんね」
 穏やかな口調の中に込められた強い感情にエーミールは気づき、とまどった。
 エーミールの視線に気づいたのか、ファビアンは、今度は柔らかく笑った。この話はもうやめましょうか、と言いながら。
 ゴランは、そんなファビアンを見送りながらエーミールに言った。気を抜くな。あいつの中には俺にはよくわからない何かがある。
「それって悪いものなの」
「わからない」
 ゴランは憮然として言った。エーミールもゴランも、一抹の不安を感じながら、それでも不思議なアルジェの少年に強く興味を覚え、そして彼等は同じようにとまどった。
 エーミールとゴラン、彼等はそれまで、互いだけを見て生きてきた。その日、初めて彼等は他の人間を文字通り「見た」のだった。
 翌日から、公爵の命でエーミールはファビアンに調教の技術を学ぶことになった。そしてその日を境に公爵はエーミールを寝所に呼ぶことはなくなった。
 それは変化だった。エーミールは少しずつ自分を取り巻く環境が変わっていっていることを感じた。教師が増やされ、勉学の時間が増えた。彼等からエーミールが将来進む高等教育機関について説明を受けた。
 公爵と共に公的なパーティーに外出する機会が増え、美しいメッケル子爵は社交界の評判を呼んだ。
 エーミールは太陽の下を再び歩き始めたのだ。
 太陽が隠れ、闇の中、城の奥深く、褐色の肌の少年と過ごす淫靡な時間を除けば。

 ファビアンは、公爵の気まぐれで日中に「仕事」を頼まれなければ、夜以外は自由に過ごしているようだった。
 彼は、その容姿だけではなく、他者を惹きつける特別な魅力を持っていた。
 城の使用人たちともすぐに打ち解け、庭師の手伝いをしていることもあれば、厨房で料理の下ごしらえを買ってでることもあったが、エーミールが勉強、ゴランが訓練を終えると待ち構えたように彼等の前に姿を現した。
 人懐っこく話しかけてくる彼との会話に、エーミールはそのうち喜びを感じるようになった。ゴランはそんなエーミールを気遣わしげに見ていたが、やがて少しずつ会話に加わるようになった。
 彼らは様々な話をした。
 ファビアンはこの屋敷に来るまでのことを隠さず話した。父親はフランス系のアルジェリア人で、祖国では迫害を受けたこと、国を脱出したこと、テロとの関わりを疑われて国外へ逃れ、欧州をさ迷ったこと、その時に家族とはぐれ、人身売買組織に捕まり、彼の才能に気づいた組織のボスに調教師として訓練を受けたこと。少年の調教師として重宝され、いくつかの闇のクラブを渡り歩いたこと。
 エーミールたちもファビアンに隠すことなど何ひとつなかった。
 エーミールやゴランの生い立ちはファビアンの興味を引いたようだった。
 彼らは多くを話した。ファビアンと、エーミール、そしてゴランは不思議な友情を育むことになった。

 やがてエーミールはファビアンの手ほどきを受け、成長した。
 エーミールの中には、嗜虐の主人たる欲望も才能も潜んでいたのだ。けれども、それはエーミールをよりいっそう苦しめた。
 エーミールが、素直で賢く、公正な少年であったことは不幸なことだった。老執事の影響で、熱心なクリスチャンでもあった。
 彼は常に罪の意識に慄いていた。そして、それを見守るゴランもまた。

 ファビアンは不思議な少年だった。その魅力で、周囲の人間、それも奴隷たちにさえ好意を持たれていた。
 時折見せる公爵や、公爵の知人たちや、時にはエーミールにも向けられる強い感情の他には、今の境遇に対する不平も不満もないようだった。
 その強い感情でさえ、憎しみと一口で言えるものでもなく、エーミールには良く理解のできないものだった。
 また、離散した家族への思慕も口にすることはなかった。
 ファビアンは、公爵と共に哀れな少年たちを責め苛みながらも、同時に、いつも陽のあたる場所に自分を置くことができた。
 ファビアンと共に過ごす時、エーミールとゴランは自分たちの絶望を忘れることができた。

 その日、エーミールは朝から気分が優れなかった。
 少し熱がある、とゴランは言ったが、予定をキャンセルすることで公爵の気分を害したくはなかった。そしてエーミールはその日、公爵の元にやってきた新しい奴隷を責め、その奴隷は夜半に急死した。
 エーミールがその事を聞いたのは、翌日の公爵との夕食の席だったが、エーミールは食事を中断し自室に帰り、その夜高熱を出した。
「何もメッケル子爵が気に病むことはありません。あの奴隷は元々問題があったのですから。カペルスキー、あの愚か者、薬漬けの子供を私によこすとは」
 公爵は不快感を顕わに吐き捨てた。
 現代の奴隷商人であるロシア人カペルスキーは真っ青になってかけつけ、不手際を詫び、言い訳をくどくどと繰り返していたが、不幸な結果に変わりはない。
 エーミールの責めに関わりなく、おそらく一両日中に少年は命を落としていただろう。少年の内臓はすでに薬でぼろぼろだった。
 それでも精神の平衡をようやく保っていたエーミールに与えた衝撃は大きかった。エーミールはしばらくベッドから起き上がれなくなった。
 エーミールとゴランは覚悟をした。公爵の気まぐれにも限度があるだろう。公爵の後継者として今度こそふさわしくないと廃嫡するかもしれない。
 しかし、公爵はエーミールを廃する気持ちはないようだった。お抱えの医師を呼んで、エーミールの身体について長い時間話し合っている様はまるで孫を案じる祖父のようだった。
 謎解きをしてくれたのは、ファビアンである。
「公爵はわかりやすい人なんですよ」
エーミールのベッドの横で、ファビアンは楽しそうに話した。
「バートリ家の末裔を救いたかったのも本当。だから、あなたが、案外か細い神経を露呈しても、少々ヘマをしても、追い出されることはない。SM趣味の変態じじいであることも本当。だから、あなたに手をつけないわけがない」
 だってこんな上玉なんですからね、と、青ざめた顔でベッドに横たわるエーミールを指差してにやりと笑った。すぐ側に控えるゴランが嫌な顔をしたが、ファビアンは頓着しなかった。
「公爵が一部で奴隷を救う神様だって言われてるの、知ってます?」
 エーミールが僅かに表情を動かしたことに気を良くして、ファビアンは続けた。
「あなたも知っているように、ここの奴隷たちは幸せですよ。死ぬほどの目にも、一生残る傷跡をつけられることもない。ほとんどのものは数年で解放され、それどころか退職金のつもりなんですかね、結構な額の金銭を渡してるし、ここの執事が今後の生活の相談にまでのってやる」
 なんでだかわかります?とファビアンはいたずらっ子のような目でエーミールとゴランを交互に見た。
「公爵が戦争中そりゃひどいことをして財を成したって知ってるでしょ。その贖罪のつもりなんですよ。慈善団体にでも寄付すればいいようなものだけど、どうです、自分の趣味と自分の罪悪感の解消について、両方満足できるなんて、素晴らしいじゃないですか」
 最低最悪な人物ですけど、僕は嫌いじゃないですよ、とファビアンは続けた。
「彼は正直なんですよ。欲望にも、罪悪感にもね」
 エーミールが複雑そうな顔で俯くと、ファビアンは静かに続けた。
 ねえ、エーミール。僕を見て。
「僕もそうです。僕は、僕の中の欲望を知っています。僕はほんの幼いころから、どこかで自分の欲望に気づいていた。そして、僕は、あの日はっきりと知った。家族とはぐれたあの日に、僕は血と暴力の中で昂揚した。僕の初めての精通はあの時だった。僕は僕のこの昏い欲望を否定しない。赤の館の狂気は僕には認められないけれど、計算された嗜虐の性愛を僕は決しておかしいとは思わない。僕はね、この太陽の光や、青い空、緑の匂い、花や蝶、生きとし生けるものすべてを愛するように、血と、精液と、苦痛の声を愛している。僕は僕のこの欲望を愛している!」
 あなたも、とファビアンは言った。
「あなたも自分自身を知れば良い。高貴な血には淫蕩と残酷を内包しているものだ。あなたも良く知っているでしょう。それすべてがあなたです、あなたそのものなのですよ」
エーミールは何かで殴られたような衝撃を受けた。そして、ぼんやりと目前の少年を見つめた。褐色の肌、黒い瞳。そして微笑み。
 光。そこにあるのは、光だった。
 ファビアンは続けた。あなたたちに会えてよかった、と。
「僕が家族について何も話さないのはなぜだか知っていますか?彼等の行方を僕は知らない、知ろうとも思わない。僕は打ち据えられる家族の血を見て興奮しました。僕は彼等と関わってはいけないのです。僕は自分のことを怪物だと思っています。クラブの客たちより、僕は理性的であるだけに罪深い。それにね、僕は、本当のところ、クラブの客たち、支配者階級である奴らが大嫌いなんですよ。でも、残念なことに、僕は普通の人々と生きることはできない。僕の側にいるのは奴隷とくそったれな金持ちばかり。だから、きっと誰とも親しく交わることなく生きていくんだろうって思ってたんです。でも、こうして心を通わせることができる相手がいるんだってわかりましたからー金持ちで、支配者で、僕のだいっきらいな人物像そのものであるにも関わらずね!」
「僕は」
 エーミールはその先を続けることはできなかった。ファビアンが笑って部屋から出ていっても、そのまま長い間黙っていた。
「ゴラン。僕はおかしいかな」
 エーミールは、太陽が隠れ、夜の帳が開けられてやっと口を開いた。小さなランプの灯りが二人を照らしていた。
 ファビアンの言葉に、エーミールの苦痛は嘘のように晴れていた。
 そのことを唯一無二の友であり、兄弟である少年に告げると、ゴランはためらいもなく応えた。
「おかしくないよ、エーミール」
 エーミールはゴランの瞳を見て、そして知った。青年もまた、自分と同じように苦しみ、同じように救われたことを。
 エーミールはベッドから起き上がり、再び淫猥な時間を過ごすことになった。けれども、それはすでに苦痛でも絶望でもなかった。
 美しい顔で平然と少年たちを責めるエーミールは、すでに完璧な主人だった。

 それは、月が明るい夜だった。
 誰が言い出したのか、エーミールは良く覚えていない。ロマの民の言い伝えだと聞いたような記憶があるが、ゴランも覚えていないという。
 けれども、それは確かに行われた。
 三人の少年は、手首を切り、血をワイングラスに滴らせ、互いに飲みあった。
 決して切れない絆を。
 彼等は血で結ばれた兄弟だった。いついかなる時も、互いが互いのために無償の奉仕をすることを誓い、彼等はそれぞれに口付けを交わした。

 別れは唐突にやってきた。エーミールが主人として充分な技術を身につけた今、ファビアンがこの屋敷に留まる理由はなかった。ファビアンは人気の調教師であり、公爵は特別少年の調教師を好むわけではなかった。
「あなたもいつか解放されます。きっと再び会えます」
「ファビアン」
 エーミールは血の兄弟を見つめた。万感の思いは言葉にならなかったが、涙はなかった。彼等は離れていてもいつでも強い絆で結ばれているのだから。
 ファビアンは最後にエーミールにそっと囁いた。
「秘密をお教えしましょうか。僕は、まだ、ヴァージンなんですよ。今度会う時には、あなたも大人になっているでしょう。あなたになら僕は下になっても構わない」
 真っ赤になったエーミールを見てくすくす笑いながらファビアンは去っていった。ゴランは複雑な顔で見送り、エーミールはゴランに困った顔で笑った。
 
 解放の時はエーミールが思っていたより早くやってきた。
 エーミールは黒い服に身を包み、教会の鐘を聞いていたが、まるで現実感がなかった。
 不思議と憎しみはわいてこなかった。
 公爵はエーミールに約束したすべてを実行していた。
 バートリ家の財産はすべて取り戻してあり、母方の財産も安堵されていた。
 公爵の莫大な財産はすべてエーミールに残された。遺言には、使用人たちにそれまでの功績に応じてそれ相応のものを渡してほしいと書かれていた。エーミールは従った。
 公爵の富は、これからも増え続けるもののほうが多かった。エーミールは貴族のたしなみにしたがって、生産性のない名誉職に就き、福祉活動に精を出し、優雅に暮らした。
 公爵は対外的にはエーミールを後継者として扱った。屋敷で行われるパーティーで、エーミールが余興として参加するのは、あくまで主人としてだけだった。だから、公爵の奴隷であったエーミールを知るものはほとんどいない。
 社交界ではエーミールを彼等の仲間としてすんなり受け入れた。裕福で高貴な美しい青年はすぐに人気者になった。
 自家用ジェットで、パーティーからパーティーに飛び回る愚かな行動もしばらく続けた。ある日、エーミールは、変わらず傍らに控える青年につぶやいた。
「ゴラン。僕は、僕の犠牲にふさわしいだけのものをもらったのかな」
「いいや、エーミール。お前の犠牲にふさわしいものなど、どこにもない」
エーミールは泣いた。あの時から、初めての心からの涙を流した。そして誓った。二度と自らを哀れんで涙を流さないことを。
 彼はエーミール・ダーヴィド・ヨーゼフ・クーニベルト・グスタフ・ディートリント・ドミニク・マルティン・アウグスブルク・シュナイザー・バートリ伯爵。
 ヨーロッパで最も古い高貴な血を受け継ぐ、生まれながらの支配者。


 その狂った町のことを耳にしたのは、そろそろくだらない乱痴気騒ぎを続けるのにも飽きたころだった。
 公爵の影から逃れるように、エーミールはそういった嗜好の集まりからは遠く離れて過ごしていたというのに、まるでそのことがあらかじめ決められていたかのようにその町へ誘われたのだった。
 そして、エーミールは彼の光に再び見えた。常に側に控えるゴランと共に、長い時を経て。
「エーミール」
逞しい青年に成長したファビアンは、変わらない微笑で彼等を迎えた。そしてそっと抱き寄せたエーミールの耳元で囁いた・
 別れの時の約束は、まだ有効ですよ、と。
 
 ヴィラでの遊びはエーミールを満足させた。くだらない主人や犬もいないことはなかったが、すぐさま上顧客となったエーミールは、なるべくそういった輩と接触しないよう、家令にコーディネートさせることができた。
 ヴィラでは主人同士の交流もあった。友人とは言えないまでも、親しい間柄になる人間もいた。
その中でも、黄金の髪と青い目を持つ美貌の青年は、エーミールでさえ魅了され、彼に会うためにヴィラに赴くことさえあった。
 それは、唐突だった。
 少し前からヴィラで囁かれている噂を、エーミールは気にも留めなかったが、あの美しい青年の姿が見えなくなったことにはすぐに気づき、案じた。
けれども、ヴィラの噂と青年の消息が一致するとも思えなかったから、ファビアンがいつものように微笑みながら近づいてきた時も、楽しい遊びに参加しませんか、と囁いた時も特別何かを思うことはなかった。
 ファビアンがプラエトリウムに彼を導いた時も、まだエーミールには良くわかってはいなかった。
 気づいたのは、プラエトリウムの地下にあつらえられた部屋に入ったときだった。
 冷たい床に広がる黄金の髪、ファビアンが乱暴に髪を掴んで上向かせた美しい顔、エーミールを見て屈辱に涙を浮かべた青い、青い目。
 プラエトルの犬、アルフレッドですよ、とファビアンは微笑んだ。その微笑にエーミールは一瞬見とれた。そして、気づいた。
 ファビアンも自分の光を見つけたのだ。
惨めに床に這う高貴な犬を前に、エーミールは久しぶりに体中の血が燃え立つほどの欲望を感じた。




「ああ、伯爵―ご主人様」
 アルフレッドは金の髪をぱさぱさと音をたてて振り、のけぞった。
 明るいオフィス、どっしりとしたマホガニーのデスクの上で、背広を着たまま、シャツをはだけられ、乳首への愛撫を受けている青年はまるで天使のように美しい。
 極太のピアスが穿たれた乳首は大きく育ち、いびつに変形し、乳を与えている女のようだった。
 先ほどまで彼はデスクに座って、自らの財団が出資した文化財の保護活動について、ヨーロッパの古い小さな町の名誉市長と和やかに会談していたものだが。
 ぐい、とピアスをひっぱると、ひ、と小さく悲鳴あげてアルフレッドは痙攣した。続けてひっぱり、口付け、ぐ、ぐ、と噛み付いた。びくびくと小さく震え、立て続けに何度も達しているのがわかる。じわり、と股間がぬれてズボンに染みが広がった。
 今日は快感で狂わせてやろう、とエーミールは思った。
 エーミールは確かにこの美しい青年に囚われていた。知性と教養と美貌。そしてその無垢な心。
 乱暴に下肢から服を剥ぎ取ると、エーミールは哀れな奴隷の濡れたペニスを握った。ゴランに尿道を塞ぐ淫具を取るよう告げると、残酷な主人は嗜虐の笑みを浮かべた。

 アルフレッドは、細い悲鳴をあげると、がくがくと痙攣し、ぐったりと動かなくなった。ゴランが近づいてくる。
 アルフレッドとの遊びに、ゴランは参加しなかった。珍しいこともある、とエーミールが険しい顔の青年を見つめると、ゴランはエーミールをじろりと睨むと言った。
「息をしていない」
 ゴランはアルフレッドの胸を叩き、上向かせて息を吹き込み、蘇生術を行った。ほどなくアルフレッドは呼吸を取り戻したが、意識は戻らない。
 尿道やアヌスの淫具を抜いても、ぐったりと横たわったままだった。射精なしに何度も達し、すでに力を失ったペニスからはとろりと精が漏れたが、すぐに止まった。
 しばらく眠らせてやろう、とゴランは言った。
「エーミール、お前、少しアルフレッドに意地が悪すぎるんじゃないのか」
「フレッドは喜んでるじゃないか」
 エーミールはふん、と鼻息をついた。ヴィラで噂されているように、僕だってこの悪魔の下僕に過ぎないんだからね、と続けた。
 ゴランはおおげさにため息をつくとアルフレッドを抱き上げ、ソファに寝かせた。エーミールに言わせると、ゴランは少々アルフレッドに優しすぎる。それには性的なものが伴わないだけに、エーミールの嫉妬心を刺激した。
 確かにエーミールのアルフレッドへの責めはひどくなりがちだった。
 アルフレッドの、エーミールとは似て異なる境遇のせいなのか、持てるものの傲慢に対する憎しみのせいなのか、それともアルフレッドの被虐の魅力にはまっているせいなのか、あるいは彼らの血の兄弟を虜にしたせいなのかはわからない。
 主人と犬の間にセーフティワードはない。止めに入るゴランがいなければ、アルフレッドは命を失わないまでも、障害を残したかもしれない。
「気をつけるよ。僕らの血の兄弟の大切な人だからね」
エーミールは謙虚に反省すると、そっとゴランに口付ける。
「ファビアンがいないとつまらないね。このままヴィラに飛んじゃおうか」
 ニューヨークの摩天楼が、青い空を背景に太陽を浴びて輝いていた。
 陽の光、青い空、風。
 エーミールも、今ではそれらすべてを愛するように自分自身を愛していた。そして血の兄弟たちを。そして、彼等に囚われた、あるいは彼等を捕えた黄金の青年を。

fin
イメージ・ソング
HIKARU UTADA  光



〔フミウスより〕
貴族の少年のいたいけな可憐さ、哀れさが出ていて、とても引き込まれます。ファビアンのからみ具合も面白いです。貴族社会の独特の空気はもうポンちゃんのおハコという感じですね。面白いですっ!
ご主人様、楽しんでいただけましたでしょうか。
ひと言、ご感想をいただけると鬼のようにうれしいです♪ 
(メアドはaa@aa.aaをいれておけば書かなくても大丈夫です)

         




Copyright(C) 2006-7 FUMI SUZUKA All Rights Reserved