車を止めて少し待っていると、東洋人のアクトーレスとふたりのサンタが駆け寄ってきた。

「ほい。サンタのオーバーと靴」

 東洋人のアクトーレスが劉小雲にビニールに入った衣装の袋を渡す。

「あと、こいつらふたりは追加だ」

 と、ふたりのサンタを紹介した。
 追加? とキーレンが大声を出す。

「なんだ、追加って」

「サンタ軍団の新しい仲間たち。ダニーとクォン。ついでに連れていけ」

「乗るとこねえよ!」

 バンの中はプレゼントがぎっしり詰まっている。すでに余分の人員のためにドアが閉じられないほどだったが、

「配っているうちに隙間ができるだろ」

「ふざけんな。いらねえよ。よそのデクリアに引き取ってもらえ」

 だが、東洋人のアクトーレスはかまわずふたりに包みを持たせ、

「にぎやかにやってくれ。風邪ひかんようにな」

 じゃあ、と去っていった。
 ふたりのサンタがキーレンを見つめる。キーレンは呻いていたが、船長が明るく言った。

「なんならわしがこの役をふたりにゆずってもよいよ。神聖なお役目じゃが」

 キーレンは相手にせず、劉小雲に聞いた。

「おまえんち、留守か」

「留守」

 さとい劉小雲はすぐ気づいた。

「あとで配る荷物はうちに置いておいてかまわないよ」

 よし、とキーレンは窓から顔を出し、

「クソ犬ども、場所をあけてくるから、7分待ってろ」

 ふたりのサンタがうれしそうにガッツポーズをした。





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