強くて逞しい強靭な兵士が、日を追うごとに犬へと変化していく。
河豚責めの後、ゲイリーは反抗的な言葉を吐かなくなった。
イアンは調教の前に、腸と膀胱をカラにして、いつものようにゲイリーの両手を天井から吊るした。
「やぁゲイリー。俺の可愛い仔犬」
ゲイリーはその声に顔を上げ、一言「ご主人様」とだけ声を出した。
「今日は素敵な物を持ってきた。ワインビネガーは好きか?」
そう言ってボトルをイアンに渡し、水に入れるように指示する。
「ご主人様、どうか・・」
「酢は嫌いか?せっかく俺が用意したんだ、遠慮なく味わえ」
イアンが準備を終えると、さっそく膀胱へ流し込むように合図する。
「ギァーーァァーー!」
今までに聞いた事もない叫び声をあげ、ゲイリーは猛烈に体を揺すって苦痛から逃れようとあがいた。
すぐに合図があり、イルリガートルが下げられる。
「はぁ・・・はぁ・・」
うな垂れたゲイリーの顔は、涙と涎でぐちゃぐちゃだった。
「ワインビネガーの味はどうだ?俺はさすがに下から飲んだ事がないからわからないんだが、焼けるような感じか?それとも無数の針で刺される感じか?」
パトリキは惑乱状態のゲイリーに質問する。
「ぐわーー・・・がぁーーー」
ゲイリーが返事しなかったので、パトリキはまた合図した。
まるで獣のような唸り声を上げるゲイリーに下げる指示がすぐに出た。
「主人に聞かれたら、ちゃんと答えるんだよ。ゲイリー」
「はぁ・・はぁ・・両方・・です」
息が整わないながらも、答えなければ繰り返される恐怖にゲイリーは必死で声を出した。
「それは素晴らしい。中からの痛みは耐える術がないだろう」
パトリキは満足そうに微笑み、再び上げろと指示をした。
「ギャーーーァァーーー」
三度目でついにゲイリーは失神した。
「アクトーレス、下ろしてやってくれ。30分後に再開する。
クビクルムが空いてるか確認してみてくれ」
「はい」
パトリキが部屋から出た後、イアンはゲイリーを風呂に入れた。
30分後、ベットの下でゲイリーは四つん這いにされせられていた。
調教が始まってから、吊るされている事が多かったゲイリーにとって、
まさしくこの犬のポーズは耐え難いものがあるだろう。
「さて、俺に従わなければいけない事は学習したかな?」
「はい・・ご主人様」
ゲイリーは力なく答える。
「よろしい。では、今度は俺を楽しませる事を覚えるんだ。アクトーレス、仔犬の尻をほぐしてやってくれ」
「ぐっ・・」
逃げたい気持ちから、無意識に体が後ろへ下がってしまい床に繋がれた鎖が首輪を引っ張り、ゲイリーの喉を詰まらせた。
「俺は優しいから逃げ道を作ってやる。アクトーレス催淫剤を使ってやれ。そうすれば、乱れたのも薬のせいだと言い訳が出来るだろう」
この言葉でパトリキがゲイリーの心まで壊すつもりはないと知りイアンは少し安心した。
「薬を塗ります。力を抜いて」
ゲイリーの後ろに回ると、イアンは手袋をした指にゼリーを付ける。
「そんなに緊張しなくても、すぐに気持ち良くなる」
パトリキはベットに腰掛け、ゲイリーの頭を撫でた。
「アッ・・ん・・」
首を垂れ、アヌスに塗りつけられる不快感に耐えていた。
「どうだ?じんわり熱くなってきただろう」
「はい・・」
ゲイリーは下を向いたまま、小さな声で返事する。
「アクトーレス、目一杯ゲイリーの気持ちいい所を擦ってやれ」
「承知しました」
熱い息を吐きだしたゲイリーのアヌスにイアンは指を挿入する。
「うっ・・ぅぅ・・」
ゲイリーはわずかに首を振り、進入の違和感に声を噛む。
「ゲイリー、何も我慢することはない。遠慮なく達け。薬が効いてるから、二度や三度達っても治まりはしない」
手足を震わせ感じまいとするゲイリーにパトリキは優しく囁く。
「俺は射精するなとは言わない。お前の蜜袋がカラになるまで、何度でも達かせてやる」
そう言ってベットから立ち上がると、ゲイリーの性器に触れる。
「あぁ・・・ん・・」
「アナルは初めてか?だったら前立腺をかなり擦っても後ろだけじゃ達けないだろう。辛いなら自分で前を触れ」
パトリキはとことん快楽責めをするつもりらしい。
イアンは以前、ティムに麻薬入りの催淫剤を使われ、死ぬような思いをした事を思い出した。
今ゲイリーに使ったものは、その時のより弱いものだがそれでも手袋を装着しなければならない調教用のものだ。
薬の効果が切れた時、どれほどの無力感に襲われるか経験しているだけに、イアンは複雑な思いで指を動かす。
「あぁー・・う〜ん・・」
切なげにゲイリーの尻が揺れ始める。
「そうだ。禁止されてないんだから我慢する事はない。気持ちよく溺れていればいい」
パトリキはゲイリーが一度目を放った後ベットにあげた。
「では私は隣で控えております」
イアンは快楽に焦点が合わなくなったゲイリーを残して部屋を出た。
この調子でパトリキは二週間調教を施し、ゲイリーは無事に成犬審査に合格した。
「おめでとうゲイリー。これでお仕置きは終わりだ」
パトリキの言葉に、ゲイリーもイアンも一瞬言葉の意味を理解できずに固まった。
「今日一日ゆっくり休んで、明日からまた百人隊長として頑張って働いてくれ。これは俺からの合格祝いだ」
そう言って、ハスターティの制服をゲイリーの前に置いた。
「ご主人様?」
「もう終わりだと言っただろ。十分に楽しませてもらったよ」
立ち上がって部屋を出て行こうとするパトリキにイアンが聞く。
「どういう事か説明していただけませんか?」
「ん〜面倒だから、家令のフミウスに聞いてくれ。じゃな」
まだ状況を把握出来ていない二人を残して、パトリキは部屋を出て行ってしまった。
「どういう事なんだ?またフミウスが絡んでいるのか?」
ファビアンの時の事を思い出し、イアンは苛立ったまま電話する。
「イアンだ。ちょっとクビクルムまで来てくれ。聞きたい事がある」
「成犬審査の合格おめでとうございます」
フミウスはバカ丁寧に祝いの言葉を述べる。
「さぁ、説明してもらおうか」
ハスターティの制服を身につけ、威圧感を取り戻したゲイリーに
フミウスが「うっ」と怯む。
「私も詳しい事は聞いておりません。パテルとさきほどのパトリキがお知り合いとかで、先日散歩中にハスターティ兵を引き連れたゲイリーと遭遇したそうです。その時に何か失敗したのか、1人の兵士がゲイリーに怒鳴られて突き飛ばされ、その兵士がパトリキにぶつかったそうです」
フミウスの話にゲイリーが記憶をたどる。
「あぁ、あの時か」
「それで今回の調教なのか?」
イアンは腑に落ちないとフミウスを睨む。
「あの場は謝罪して、すんなりやり過ごせたはずだが?」
「その後、パテルとパトリキの間で決まった話なのでしょう。私は二週間の調教をし成犬審査で終わりと聞かされただけです」
「知っていたなら、せめて俺にぐらい伝えておいてくれたって・・いらん気苦労をしたじゃないか」
「それはいけません。イアンに伝えると、ゲイリーに教えてしまうかもしれない。そうするとお仕置きになりませんから」
どこまでもしたたかなフミウスに、イアンは軽く舌打ちをする。
「とにかく終わったんだろう?悪夢を見たと思って忘れるよ」
ゲイリーはそう言うと、ケントゥリオとしてこの部屋を出て行った。
ここで働いている以上、また自分の身にも何か起こるかもしれないとイアンは得体の知れない不安に身震いをした。
―― 了 ――
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