調教は甘い蜜の罠  ギイ様作品




『調教は甘い蜜の罠』 




私はアクトーレスに悪役になってもらうプランを立てた。

 つまり、私の指示で仔犬に苦痛を与えるのではなく、『素直な犬になれてない』『ご主人様に従わない』などの理由で、アクトーレスが罰を与える。
仔犬が恐怖を覚え、苦痛に意識を失いかけた時、私が「止めろ」と指示を出す。

 そうする事によって、仔犬は私によって苦痛から解放され、私がアクトーレスから守ってくれる存在だと身をもって学習する。
 そして私に助けを求め、私に縋ろうとし、従順な私の犬となるだろう。

 私はアクトーレスと事前に打ち合わせをし、この何日かで色んな調教を試した。
 鞭に電気、催淫剤にバイブ、クリップや尻尾で散歩、吊しや架台に放置、大量に水を飲ませてお漏らし、浣腸や産卵にオムツなどの水遊び・・
 
 一通りしてみてわかった事は、この仔犬は元警官だけあって痛みには強く、鞭や電気で涙を流し、口では許しを請うていても、心は決して屈しない。
一方、羞恥プレイには弱いようで、散歩中に浣腸やオムツなどをほのめかすと、狂ったように暴れて抵抗した。

「ご主人様・・もう許して・・」
 私がワイン片手に考えに耽っていると、鞭に打たれ弱々しいロビンの声がする。

「アクトーレスもう止めてやってくれ。傷が深くなると、痕が残るかもしれない。
 私はロビンの美しい身体が気に入っているからね」
「申し訳ありません」
 アクトーレスはわざとらしく謝罪し、吊るしていたロビンを降ろす。
 ドサッと崩れ落ちたロビンは意識を失いかけている。

「だからお前はダメ犬なんだ!」
 ビシッと、ロビンの背中に鞭が飛ぶ。

「ヒィーーー!!」
 ロビンは身体を丸め、自分を守るように膝を抱え込む。

「どうして罰を止めてくださったご主人様に、真っ先にお礼に行かないんだ!」
 アクトーレスの言葉に、ロビンは思い出したように慌てて私の元に這って来る。
「ご・・ご主人様・・申し訳ありません・・」
 涙と鼻水でグシャグシャになった顔で、私の靴に必死で何度もキスをする。

「痛かったかい?ロビンがいい犬になれば、お仕置きされなくてすむんだよ。
 私は苦しんでいる姿を見るのが好きなわけじゃない。
 早く君が罰を与えられなくても済むようないい犬になってくれると嬉しいよ」
 ロビンの髪を撫でてやりながら、私はとびきり甘く囁いた。

「ご主人様・・」
 そう言って顔を上げたロビンの目は、私を敵視していない。
 とりあえずここまでは順調だと、心のうちでほくそ笑む。



「ロビン、散歩に出ようか」
 『散歩』の言葉にロビンの体がビクッと反応する。

 羞恥プレイに弱いロビンは、散歩も苦手の1つだ。
 裸で四つ這いで歩き、主人以外の人間の目にも晒される。
 人と会えば靴にキスをして挨拶をし、犬を連れていれば互いの性器にも挨拶のキスをしなけばならないのだ。
 ロビンはいつも顔を上げられず、人の気配が近づけば止まって震えていた。

「アクトーレス、尻尾を」
 私の指示に、アクトーレスは柴犬のような可愛い尻尾を持って来る。
 身を硬くしながら、アクトーレスに怯えるロビンの背中を撫でる。

「私がこの子に尻尾をつけよう」
「ほら、ご主人様に尻を高く上げてお願いするんだ」
 アクトーレスは私に尻尾とゼリーを渡すと、ロビンの肩を床に押さえ込み尻を高く上げさせる。

「やっ・・」
 一瞬漏らした抵抗の言葉を、私もアクトーレスも聞き逃さなかった。
 私はアクトーレスに目配せをする。

「今何と言った!俺はお願いをしろと言ったんだ。まだわかってないようだな」
「すいません・・・すいません・・」
 ロビンは自分の失敗に気づき、必死で謝り続ける。

「そんなに尻尾がイヤなら、オムツで散歩に出てもいいんだぞ!」
「いやだーー!」
 アクトーレスの言葉に、ロビンは身体を揺すって抵抗を見せる。

「なんなら水をぶち込んで、尻尾で詮して散歩に出るか!」
「ごめんなさい!それだけは、許してください・・ご主人様・・・ご主人様・・」
 ロビンは狂ったように頭を振って泣き出した。
 アクトーレスから守ってくれと言わんばかりに、ご主人様と繰り返す。

「いつまでも散歩をイヤがって、会った人に挨拶も出来ないようじゃ
 ご主人様が恥をかくんだ!」
 アクトーレスはそう言いながら、ロビンの尻たぶを大きな音をたてて引っ叩く。

「ヒィーー」
 赤くなった尻を震わせながら、ロビンはごめんなさいと泣きながら繰り返す。

「ロビン。今日の散歩では、きちんと挨拶出来るね」
 叩かれて赤くなった尻に、わざと音をたててチュっとキスしてやる。

「はい・・ご主人様」
「さぁ、ロビン。私に何て言うんだい?」
 これ以上ないほど優しく微笑み、ロビンに言葉を促す。

「ご主人様、私に尻尾をつけて、散歩に連れて出てください」
「よく言えたね」
 私はロビンの言葉を褒め、尻尾の根元部分のバイブにゼリーを付け、ロビンのアナルへと挿入した。
「あぁ・・ご主人様」



 中庭に出るまでに、知り合いに2人ほど会った。
 ロビンはぎこちないながらも、なんとか挨拶を終えた。

 噴水の所で友人に会い、腰を下ろして話し込んでいると、アクトーレスが割り込んでくる
「ご歓談中に申し訳ありません。向こうでロビンが」
「ご主人様ー!助けてー・・ご主人様ー」
 アクトーレスの話の途中で、ロビンが走って飛び込んできた。

「ご主人様助けて!あいつを止めて」
 見ると友人の犬がロビンの尻を目掛けて駆けてくる。

「アラン!! やるめんだ!」
 友人が自分の犬に怒鳴った。
 そしてアクトーレスからスタンガンを受け取り、脇腹・腰・尻と立て続けに打ち付けた。

「グゥ・・うぅ・・」
 アランは電気で腰が抜けたのか、へたり込んで動けないでいた。

「うちの犬がすまなかったね・・こいつは本当にバカ犬で、綺麗な尻を見ると 
 飛びついてしまうんだ」

 ロビンはどうやらマウントされそうになったようで、私の膝にすがりつきガタガタと震えていた。
 私はすっかり怯えているロビンの髪を撫でてやりながら、友人に何もなかったようだから、別にからかまわないと伝えた。

「アクトーレス、こいつをあの木に吊るしてくれ。まったく・・よりによって友人の犬にマウントするなんて。主人に恥をかかせてそんなに楽しいか」
 犬の髪を引っ張って顔を上げさせ、何かいいお仕置きを思いついたのか友人はニヤリと笑った。

「許して・・ください」
 アクトーレスはアランを軽々と肩に担ぎ上げ、近くの木に両手を吊り上げ右足も手の枷に繋いで片足を上げさせた。

「アクトーレス、マジックを持ってきてくれ。このどうしようもないバカ犬をここに居るみんなに罰してもらおう」
 友人はアクトーレスがこの場を去ると、アランの首を抱き寄せた。

「お前はまだわかってない。ちゃんと私の犬として、すべき事を考えろ。バカ犬であり続ける限り、私はお前を庇護しない」
 そう言って、アランの首輪をはずしてしまった。

「待って!待って!ご主人様、俺はあなたの犬です。ご主人様どうか首輪を!お願いです」
 アランは恐怖に青ざめ、不安定な体勢にもかかわらず必死に訴える。

 首輪をはずされた犬は、飼い主の保護を取り消されている事となり、殺さなければ何をしても問題にならない。
 戻ってきたアクトーレスからマジックを受け取り、友人は泣き叫ぶアランの腹に文字を書いた。

「『お仕置き中。ご協力ください』か、なるほど」
 吊るされたアランが自分では見えないだろうと、私は声に出して読んだ。

「なぜお仕置きされているかは自分で説明するんだ。いいな」
「ご主人様、ちゃんと言う事を聞きます。だから首輪ははずさないで」
 アランはガタガタと震え、涙を流しながら友人に許しを請う。

「アクトーレス、後は頼んだ」
 友人はそう言うと、私にもう一度謝罪し、中庭去って行った。


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