バイブ



 部屋の明かりを消し、毛布をかぶると、ようやくキースがバスルームから忍び出てくる。 そっと毛布のふちをあげて、もぐりこんでくる。

 この恥ずかしがりの犬は、いまだ明かりの下で主人に甘えることができない。毛布のなかにいて、あなたが抱き寄せて、はじめて長い手足をからめてくる。

 あなたは安心させるよう抱きしめると、そっとその腕をはずし、後ろをむかせた。
 やわらかい枷で手首をしばってやる。口に棒枷をかませてやる。
 キースは従容とされるがままになっている。

 彼はこのほうがラクなのだ。
 地下で躾けられた体はひどく感じやすい。燃えさかる情欲に狂うことをこわがっている。

 あなたは手さぐりでバイブをとると、クリームで濡らした。ゴルフボールほどの玉がつらなった串団子状のものだ。キースのすべらかな尻を割り、そのアヌスにもぐりこませる。

「ん――」

 玉をひとつ含ませるごとに、闇のなかにためらいがちな吐息が漏れる。
 すべての玉を飲み込ませると、あなたはそっとささやき、スイッチを入れた。
 玩具が暴れだす。暗闇に低い振動音が響く。深夜の沈黙のなかでは、地鳴りのようにそれが響いた。

「ん、ウウッ」

 いくつもの玉に身のうちを激しく叩かれて、キースが身悶える。責め具から逃げようと、長いからだをくねらせている。

「ンッ、ふっ、ンンッ」

 あなたは暗視ゴーグルで見るように、闇のなかの肢体を感じている。
 キースのペニスはすでに熱をおびて身をもたげている。感じやすい乳首が戦慄している。腰は甘美な愛撫に突き上げられ、耐えかねて浮き上がっている。

 あなたはバイブの握りをつかみ、そっとそれを引いた。

「ンクッ」

 敏感な肛門を玉がすべりぬけ、キースのからだがはずむ。あなたはさらに玉を引き抜き、ふたたび差し入れた。

「……ッ」

 手に触れるキースの骨盤が震えている。
 ひどく、感じている。
 鋭い歓喜に蒼ざめている。

 あなたは淫靡な愛撫を繰り返した。濡れた肛門のやわらかい粘膜をすり抜け、またもぐりこむ。先端の玉で彼の弱みを揺るがし、またそらす。

「ンンッ、くッ」

 暗がりのなかでキースの上体が暴れていた。振動音にすすり泣くようなあえぎ声がまじる。
 絶頂がちかい。
 あなたを求めている。

 あなたは手を離し、暗闇のなかのからだを凝視した。
 縛められた腕。悶え、シーツの上で淫らにくねる腰。汁をしたたらせる雄々しいペニス。ふるえ、浮き上がる長い足。自ら足をひらき、おもちゃのかわりにあなたを待っている。
 あなたは責め具をそのままに、キースを抱きしめた。

 口枷の上からキスを浴びせ、その腰に強く腰を打ち付ける。
 ペニスにキースの熱いペニスから擦れる。陰毛や粘液をまじりあわせ、あなたは獣のようにからだを擦り付け、快楽をもとめた。

「ンッ、ンンッ」

 キースの喉から悲鳴のような短いあえぎがもれる。限界だ。
 あなたは頭をもぐらせ、キースの小さな乳首を噛んだ。

「ッ!」

 キースの腰が硬直した。おごそかな痙攣とともに、熱いつぶてがあなたの腹を濡らす。
 悲嘆のようなため息が髪に触れた。

 あなたは含み笑った。
 まだ喘いでいる胸を吸い、早い粗相をなじる。
 乳首を吸われ、キースはたじろいだ。逃げるように身を離し、あなたの股間にもぐりこむ。

 枷のはまった唇をあなたのペニスにすりつけた。
 この犬が自ら動くのはめずらしい。

 あなたは微笑んだ。
 口枷をはずし、身を起こしてフェラをゆるしてやる。
 キースはそっとあなたのペニスを口に含んだ。

 髪があなたの太ももに触れている。縛られ、バイブを詰められたままだ。明るみであったら、ひどくセクシーな姿態だろう。

 だが、少しずつだが、彼は自らをひらこうとしている。あなたに預けようとしている。
 今日はおねだりができるようになるだろうか。
 あなたはそっと手をのばし、バイブのリモコンを強にした。


              ――了――




ほかの部屋へ行く          もう少しキースと遊ぶ


TOPへもどる⇒

Copyright(C) FUMI SUZUKA All Rights Reserved