リレー小説 ファビアン  ACT10 担当 Ray様


俺は気づいたらいつの間にか斜めった台の上に大の字で寝かされていた。

「ねぇ、ファビアンは蝋燭好き?」

俺の前に立ったパトリキは突然そう聞いてきた。

(好きなわけがあるかっ!?)

そう、心の中でだけ突っ込み黙っているとパトリキは微笑みながら言う。

「沈黙は肯定ととるよ?」

言うが早いかワゴンの傍に居たパトリキが様々な種類の蝋燭を手にする。

ヴィラには色、形、融点の高さなどの違う様々な種類の蝋燭がある。

「ファビアンはまだ仔犬だから、低温のがいいかなぁ?
 あ、でも鍛えてるから普通のでもいいのかな?
 それともこれにする?」

次々と蝋燭を手にしながら、パトリキは俺の反応を見ている。

仔犬には蝋燭を使うという恐怖だけを与えればいいので、融点の低い低温のものを使うことが多い。

はじめから融点の高いものを使うとショックが大きくなり過ぎてしまうのだ。

俺は勝手にしてくれと瞳を背けていたが、パトリキが持ってきたものを見て、青ざめる

パトリキが持ってきたのは融点の高い、高温蝋燭だった。

高温蝋燭は本来、蝋燭に慣れすぎて普通のものでは反応しなくなった犬に使うものだ。

はじめての相手に使うものじゃない。冗談じゃない。

普通のものなら、多少は耐える自信もあったが、俺は高温のを使われた犬が狂ったように悲鳴を上げるのを見ている。


俺がうろたえているのがわかったのか、見学していたパトリキたちは楽しそうに声を上げる

「なんだ、ファビアン。蝋燭が怖いのかい?」

「今まで散々、使ってきただろう」


からかうパトリキたちに俺は無駄だと知りつつも懇願する

「ご主人様、お願いです。俺はまだ仔犬なので・・・・」

プリーズというとパトリキたちが火を点けたように笑い出す

「自分が犬だということを認めたのか!?」

「これは可笑しい。アクトーレスが自分のことを仔犬と言ったぞ!」

「まだ仔犬のファビアンはどうして欲しいのかな?」

指を指して笑われ、俺は顔を赤らめながらも言った

「お願いです。せめて普通のものを使ってください。」

哀れな仔犬のように怯えて言うと(半分は演技だが)蝋燭を持ってきたパトリキがソファーを振り返る


「仔犬がお願いをしていますけど、どうします?」

「うーん、そうだねぇ・・・」

俺はプリーズ、プリーズと何度も言い、許しを請う

許してやってもいいんじゃないか。と言う声が上がる中、中心核の1人が声を上げる

「皆さん、調教というのははじめが肝心なんです。甘やかしてもいいことはありませんよ?」

そのパトリキのセリフに納得したのか、そこで話し合いは終了してしまった

「お願いは却下されたみたいだよ?」

だから、覚悟してね。と楽しそうに振り返って言うパトリキに俺は覚悟を決めて瞳を瞑った

「あぁ、ダメダメ。目はちゃんと開けてて」

無理やり目を開けさせられ、見ると蝋燭に火が点けられていた。

息を止め、次に来る熱さに耐えられるように身構える

「ぐっ・・・・!」

始めの一滴はへその辺りに落とされた。

かなり上から落とされたが、流石に高温蝋燭。かなり熱い。

「うぅ・・・・」

続けてお腹に落とされる。そして、段々蝋燭は上がっていき、乳首にも落とされる

「ふっ、はぁ・・・」

「いっ・・・・」

体に力を入れ、声を抑えて熱さに耐える。

燃えるような熱さに頭が可笑しくなりそうだ。

何滴か落とされ、乳首が真っ赤な蝋で見えなくなると、いったん蝋燭がどけられる。

その間に上がった息を整えると淡々と蝋を落としていたパトリキが関心したように俺を見る

「流石だねぇ。悲鳴のひとつもあげないなんて。それともファビアンにとってはこれくらい大したことないのかな?」

「ご主人様、もう許してください・・・」

俺が再び許しを請うと、それまで黙ってソファーに座っていたパトリキが寄ってきた

「ここもデコレーションしようよ♪」

細長い指でペニスに触れられ、俺は演技でなく首を振った

「待ってくださいっ。お願いです。そこは許してください・・・お願いです、ご主人様っ」

縋りつくようにソファーへと戻ったパトリキを目で追い、許してくれと頼む。

俺の演技でない怯えが気に入ったのか、見学しているパトリキたちが早くやれと急かす。

「わかってますよ。今、やりますから」

絶望している俺をよそに、蝋燭を持ったパトリキは急かすパトリキたちに苦笑しながら、再び蝋燭に火を点けて、俺の下半身に近づける。

今度は先程までとは違って、すぐには蝋を落とさず、蝋燭ごと近づけて俺の反応を楽しむ

そして・・・・

「ああっ!」

傾けられた蝋燭から蝋がペニスに的確に落ち、俺は首を仰け反らせる。

「ひっーーー!!」

今度はかなり低い位置から落とされ、俺は逃げられないとわかっていつつも拘束具をガチャガチャ言わせて熱さから逃れようとする。

「うわぁぁぁーーー!」

「ひっ・・・・あああああーっ!」

連続して敏感な部分に蝋を落とされ、俺は激しく首を振って悲鳴を上げる。

目尻から俺の意思とは無関係に流れる涙を拭い、パトリキがうっとりと見つめる。

「すごく綺麗だよ、ファビアン」

「君は最高だ!」

「なんて美しいんだろう・・・」

様々なことを口にしながらこっちを見ているパトリキたちに俺は弱弱しく首を振る

「もう、こんなのイヤだ。終わりにしてください」

「何を言ってるんだい?まだ始まったばかりじゃないか」

ねえ、皆さん?というと皆、そうだそうだ。と声を合わせる。

「あなたがたには参りましたよ。本当に」

降参だから、もう止めてくれ。と言うが、俺の願いなど無視される

「さぁ、休憩は終わりだよ」

「お願いです。もう、許してください。蝋燭は嫌だ。他のことなら何でもしますから・・・」

「何でもするというのは魅力的だけど、もう少し楽しんでからにさせてくれ」

再び蝋燭をとったパトリキに俺は眉をひそめてプリーズと繰り返す

だが・・・・

「・・・っ・・・いぎゃあぁぁーー!!」

「やっ、もっ・・・ぅゎぁあぁぁあぁぁっっ!!」

既に蝋でいっぱいの表面ではなく、裏側や袋の部分など満遍なく蝋を落とされ、

さらにその後も、何度も容赦なくペニスに蝋を落とされる。

蝋がペニス全体を覆うと今度は蝋を剥がして、もう一度最初から責められる。

そんなパトリキの執拗な責めと絶え間ない熱さと痛みにもはや何も考えられなくなった俺がうわ言のようにプリーズ、プリーズと繰り返していると、突然、蝋が落とされなくなった。

不思議に思って蝋燭をもっているパトリキに焦点を合わせるとパトリキは美しい微笑を俺に向けて言った

「そろそろ終わりにするかい?」

その笑顔に俺は不信感を抱いたものの、首を縦に振り、何度も頷くとパトリキはこれ以上無いほどの笑顔を俺に向けた

そして・・・・

「うぎゃあぁぁぁぁーーーっっ!!」

火が点いたままの蝋燭を直接、ペニスに押し付けられ俺はその恐ろしい熱さと痛みの中、気を失った。





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