首の鎖が軋み、ぎしぎしと鳴っていた。
ぼくは懸命に顎をあげて、首輪から気道を守った。尻のなかをぬめった熱い塊がぐっと突き上げる。からだが浮き、ペニスが浮く。押し出されるように血管から熱いものが下腹に湧く。
ぼくのペニスはズキズキ脈打った。リングにくびられ、悲鳴をあげていた。
男は鞭に飽きると、ぼくを背後から犯した。ペニスのチェーンはつけたままだ。男が突き入れるたびに、勃ったペニスが執事のからだを引っ張る。
悲鳴は口の張り型にはばまれる。涙だけがだらだら流れた。
「執事さん。見なよ」
首の後ろで男の生あたたかい息がわらう。「今さら申しわけないってもんでもないだろうが」
男が突くたび、ぼくの尻と彼のペニスがあられもない音をたてる。執事は腰を突き出したまま、懸命に目を伏せていた。
「見ろ」
男は両手でぼくの乳首をつまみ出した。
「この野郎は悦んでんだぜ。犬だからよ。かなしいかな、こうされるとたまらねえのよ」
(ヒッ)
乳首に強い痛みが走る。太い指が乱暴につまみ、揉み、ひねりあげる。
「ンンッ、ンッ」
かたく凝った乳首が二指で押し潰されていた。痛みにからだがよじれあがる。だが、男はさらに腰をつきあげた。熱いペニスに押しあげられ、乳首をなぶられ、ぼくは涙を流してよがっていた。
「んん、ンン――ん」
痛みは甘酸っぱかった。苦痛のなかに恍惚がまじっていた。ぼくのペニスはいっそう音高く脈動し、リングにくびりとられそうだった。
(ああ、ちくしょう。こんな――)
男が執事をからかっている。つぎはおまえだ。よく見とけ。
執事がいたたまれなさそうに目を向けた時、ぼくはギャグからよだれを流し、突かれるままに腰をふりたてていた。
「ンッ――ンーッ」
突如、熱風のようなものが尾底骨から脳天まで突き抜けた。だが、射精できない。ペニスで混乱が起きていた。熱い風だけがからだを逆巻いている。
(ああ……)
尻のなかでも男が熱い精を放っていた。
男とからだが一瞬溶け合い、すべての抵抗が抜け落ちてしまう。ぼくは恍惚と男にもたれた。
だが、
「よし、立ってな」
男はさっさとぼくを放した。
とたんに首輪が締まる。ぼくは疲労困憊しながら、座ることさえできず、足を踏ん張った。
執事のほうはさらに災難だった。
「ンーッ! グーッ」
男が犯そうとすると、執事ははげしく身もがいた。
「どうしたさ。さっきも抱いてやったろう。二度目はそれほどつらくないぜ」
男は執事の細身をかかえ、ぎくしゃくと尻を犯した。ぐっと執事が首をのけぞらせる。
「おお。かてえ――息しな」
笑いながら男が彼のペニスに触れる。執事は真っ赤になって顔をそむけていた。
執事はヴィラのスタッフだ。処女だったのだ。ぼくの前で犯され、恥辱に動転していた。
その様子は男を面白がらせた。
ぼくにしっかり見ているように言い、執事のからだが飛び上がるほど突き上げた。
「ンッ、ンンッ!」
執事は顔も胸も真っ赤だった。声を懸命にこらえ、ディルドをくわえた顔を懸命にそむけて、ぼくを見ないようにしている。
痛いだけだろうに。彼のペニスは垂れたままだ。
男がそれに気づいた。
「まだ気持ちいいってわけにはいかねえか。人生最後なのにそいつは気の毒だな」
彼は一度執事を放すと、壁のほうへ歩いていった。
壁には数種のスイッチがあった。彼が操作すると、とたんにぼくの首輪がぐいぐい引かれだした。
「ンーッ!」
「おっと、すまねえ。たくさんあるから間違っちまった」
男は笑い、鎖を戻した。鎖はさらにかなり長くのばされた。
彼はぼくから口枷とペニスの縛めをはずし、ひざまづかせた。ちょうど目の前に、執事のペニスがしょんぼり垂れていた。
「しゃぶってやんな」
男の命令に執事が狼狽する。彼は腰をひねってペニスを隠そうとした。
だが、
「さっさとやれ! また吊られたいか」
男はぼくの尻を蹴りつけた。尾底骨がくだけそうだ。ぼくはあわてて、逃げる執事を追い、そのペニスを口にふくんだ。
執事の腰がビクリとおののく。
彼のペニスは小ぶりだった。恥ずかしいらしく、しきりに腰をひねろうとするが、これを責められて平気ではいられない。
「ンッ――ふ」
しだいに彼の小ぶりなペニスもあたたまり、かさを増していく。かたく茹であがり、うすい水分を沁みださせた。
「んふ、んんふ」
ディルドを咥えた口の間から、甘いあえぎが漏れる。その顎をよだれがたらたら流れていた。
「色っぽいねえ。執事さん」
男がわらうと執事は狼狽し、息をつまらせた。ぼくの口のものも急におとなしくしぼんでいく。
「ふだんのおすましはどこにいったさ。それとも、ずっとこうされたかったのかい」
男はまた背後にまわると、執事の中に腰を突き入れた。
「ンーッ!」
執事の足がこわばり、びくびくと揺れる。血のにおいがした。
かわいそうに。処女にはつらい大きさだ。
ディルドの間から執事がヒイヒイ泣いている。苦痛と恥辱でいつもの冷静さは見る影もない。突かれるたびに苦しげにのけぞり、じゃりじゃりと鎖を揺すった。
「おまえらスタッフはさ」
男は彼を突きながらささやいた。「自分にゃまるで関係ねえと思ってたんだろう。ひとがレイプされようが、手足を切り落とされようが。え?」
棘のある声だった。「自分の身にふりかかるこたねえ、と思ってたな。こんな風に餌食になるとは思いもしなかったな。え?」
「ガーッ」
執事のからだがのけぞり、山羊のような悲鳴がもれた。男がピアスをつまみあげていた。
ぼくは懸命に彼のペニスをしゃぶった。少しでも彼の痛みが軽減すれば、となだめていたのだが、しだいに気持ちが落ち着いてきた。
――時間を稼ぐんだ。
この男をより長い間、愉しませることだ。逃亡犬がいつまでも放置されるはずがない。
もうすぐハスターティが探し当てる。ぼくの主人がおかしいと気づき、捜索を出してくれる。ちくしょう、なんで買い物に行くなんて言っちまったんだろう!
とにかく生き残るためには、時間稼ぎしかない。
そう思った時、男が達してしまった。
男は執事を放すと、ペニスをしまった。
「どうだい。されてみて気持ちいいかい。許容範囲かい」
「ンッ、ンふッ」
執事は泣いて首を振った。
「だが、おれたちは変態だからイイと思ってんだろ。おまえは変態じゃねえってんだろ? え?」
ぼくは執事のペニスを口から放した。
「ご主人様」
男はいきなり主人扱いされて目をしばたいた。ぼくは媚びた目で男を見上げた。
「なにかお薬はないでしょうか。そうすれば、彼もよがり狂うと思いますが」
執事が目を剥くのがわかる。
「この野郎。媚びようってのか」
男はそれでも、面白い考えだと思ったらしい。ふらりと壁際の棚に寄った。
「仲間を売って生き残ろうってのは感心しねえなあ、プードル。おれの一番大嫌いなタイプだ。そういうやつはムショでも長生きできないんだぜ」
彼は戻ってくると、銀色のチューブからたっぷりとゼリーをひねりだした。それを執事の尻の穴に塗りつける。「ま、初回につきサービスだ」
執事はきつく眉をよせ、卑猥なマッサージに耐えていた。男はわざとゆっくり直腸のなかをかきまわし、露骨な音をさせた。その音がたつほどに、執事の胸がふるえ、大きく上下する。
「ンッ――ふ、ン」
「感じてきたかい。待ってな」
男は執事を放すと、ぼくの背後へまわった。
「ぼ、ぼくはいいですよ」
「裏切りの罰だ。尻を出せ」
尻たぶをひらかれ、太い指がつきこまれる。
「アッ」
冷たいクリームが粘膜に触れたとたん、カッと燃えはじめた。すぐにからだが温まり、心臓の音が早くなる。ペニスにみるみる力がみなぎり、胴にふるえが走った。下腹に熱い渦がまいている。
強烈なやつを使ってくれたらしい。
「ああ……アア、ン――」
ぼくは大げさな声をあげ、転がった。「ご主人様、入れて。入れてください」
尻をつきあげ、うっとりとふりかえる。得意の悩殺ポーズなのだが、男は言った。
「おまえら、レズ・ショーでおれを愉しませろ」
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