悪党クラブ 第4話 |
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「トニー、二週間だぜ、もう」 お茶の時間、スタンが口を切った。 「――これ、失敗してるんじゃないのか」 アンソニーは紅茶を飲むふりをして答えない。 二週間が過ぎて、おれたちご主人様は首をかしげていた。 デミル先生はちっとも従順な奴隷になっていない。おれたちが何か命じても、無視。おむつを替えるのも、レイプするのも、いまだ力ずくでおさえつけねばならない。 電気棒でひどくいたぶれば、いやいや従ったが、けしてコントロールできているとはいえなかった。 「いや、こんなもんよ」 アンソニーはすまして言った。 「最後のあがきだよ。あと数日でなんとかなんじゃない?」 「なんとかなってないだろう。あと数日で、おまえ、やつの口にちんちん入れられるか?」 「――」 「罰がさ、ぬるいんじゃないか?」 スタンはついに言った。 アンソニーは変態だが、むごいことができないところがあり、先生への罰も口ばかりになりがちだった。あまつさえ、おれたちが電気棒で懲らしめるのもいやがる。罰が徹底しないのだ。 だが、アンソニーは紅茶を飲み、 「あせりなさんな。ヴィラでは犬の調教に半年ぐらいかけることもあるんだ」 「パパたちのほうはうまくやってるぜ」 意外にもクラレンスチームのほうは順調だった。 強悍なグリフィス先生は最初、彼らを殴ったり、すっぱだかのまま逃走しようとしたりして、手を焼かせていた。 だが、ある工夫によって彼を脅かすことができたという。その秘訣は教えなかったが、この三日前あたりから、屈した、と聞いていた。 「グリフィスはカマだったんだよ」 アンソニーも面倒くさそうな声をだし、 「おれはさ。やなんだよね。鞭とかピアスとかさ。簡単でしょ。暴力ふるわれたら、誰だって言うこときくよ。おまえが単なるサイコでも」 「じゃ、どう複雑にしたいんだよ」 「もう、なんというか、からだからねじまげるっていうかさ」 はいはい、とスタンはあしらった。 「アレだろ。心はいやがっているのに、からだはおまえのちんちんの不思議な魅力にさからえず、なぜかアンアン」 「ちがう。なぜかおもらしだ。ご主人様に命じられたら、イヤでもからだがもらしちゃうんだよ」 「――」 「なんだよ。おまえおれの夢を笑う気か! おまえ、そんなに高尚なご趣味をもってるのか。おまえなんかどうせ、髪の毛つかんで殴りつけて犯したいだけだろ」 「そうだよ。なんか悪いか」 「そして、あがめられたいんだろ。まあ、なんてワイルドなお方。荒々しくて逞しい! 男のなかの男。はしごみたいに骨ばってて、筋肉はよく見えないけど」 ふたりの空気がとげとげしくなってきた。 「ドク」 スタンの声が低くなっていた。「おまえは?」 おれは肩をすくめた。 「おまえらの好きにしろよ。だが、9月までに仕上げないと、学校に戻せない。捜索願いが出るぜ」 結局、スタンの案を試すことになった。 先生はベビーベッドから厩舎に戻され、梁から吊るされた。両手首をひとつに吊るされ、足はそれぞれ鎖に開かれた。 おむつはない。スタンは先生の尻にぴしりと乗馬鞭を当てた。 「……ッ!」 先生は顔をしかめて、悲鳴をこらえた。 「たいへんけっこうです」 スタンは鷹揚に褒めた。 「そのまま平気だという顔をつづけてください。ぼくもあなたをただの馬の尻とみなします」 スタンは腕を叩きつけた。先生の尻に赤い線が走る。 先生は歯を食いしばって耐えている。さらに一閃し、尻に鋭い音がはねる。 スタンは尻を狙って打った。ふたつのかわいい丸みはたちまち赤い線で埋め尽くされた。 最初はこらえていた先生も、鞭が当たるたびに腰をにがそうと身をよじる。尻を出したり、ひっこめたりして、鞭から弱い内股を庇っている。 そのたびに股の間で、ペニスが揺れおどった。 「イ、ッ――」 「お尻振らないで」 スタンが鞭でペニスを掬い上げた。 「誘っているんですか」 スタンはじつに楽しげに鞭打った。この男は無邪気なぐらい単純なサドだった。 彼のもっているエロビデオもみな、美女が鞭打たれたり、男に荒々しくレイプされる類のものだ。 「痛くても小便は我慢してくださいよ」 スタンは腕をふりあげた。 「ぼくはそっちは興味ないんでね」 鞭があたった途端、先生は目を剥いて、凍りついた。腰が釣りあがるように曲がり、その眼からぼろぼろと涙が落ちる。ペニスに当たったらしい。 「見ちゃおれん」 アンソニーは首を振って、厩舎を出て行った。おれは彼をなだめ、 「スタンにも好きにやる権利はあるさ。やつも金を払ってんだ」 「あいつはおれが非現実的みたいなこというけどさ」 アンソニーは鼻にしわをよせた。 「あいつだって、おんなじだよ。賭けてもいいが、デミルは絶対あんなのじゃ参らないぜ」 スタンの調教はうまくいくかに見えた。 二日目、先生はひどく痛がった。尻は青黒く痣がつき、それを打たれると、さしもの先生も悲鳴をこらえられなかった。 三日目、吊るした時、先生は目をつぶってふるえていた。打ち始めると、耐えられなかった。歯をくいしばっても泣き声があふれた。 その日の二度目の鞭打ちでは、打つ前から泣いた。 「もう、やめてくれ――」 スタンはこれを降伏のしるしと見た。うずくまって泣く先生の前に、しゃがんだ。 ファスナーをおろし、ペニスをひっぱりだす。 「しゃぶれ。ビッチ」 先生は濡れた目で見つめていたが、ふと首をのばした。 その瞬間、おれはぎょっとしてスタンの襟首を引いた。 スタンが悲鳴をあげる。間一髪、先生はスタンの太腿に噛みついていた。 「放せッ、クソッ、ギャアアッ」 先生はドーベルマンのように歯を剥き、ズボンを放さなかった。その腹を蹴り、ようやく引き剥がした後、見るとスタンのズボンに血が沁みていた。 太腿をかなり深く噛み裂かれていた。 アンソニーはこれに笑い転げた。 「バッカ。おまえ、ヴィラのマヌケなご主人様そのものだよ」 スタンは怒り狂っていた。 「あいつの歯をぬいてやる。顔に焼印おして、二度と外に出られないようにしてやるぞ」 「そんなの絶対だめだ」 アンソニーが立ち上がる。 「あれはおまえだけのものじゃないんだ。おまえは失敗した。サーブ権はこっちに返してもらう」 「またおむつか。それでまた時間を無駄にする気か」 「今度はいい薬がある――」 「下剤なら、おまえが飲んでろ。そいつが一番話が早い」 「なんだと」 「羞恥プレイだなんてよろこんでるのはおまえだけだ! あいつをぶん殴らないなら、おれはやめるからな!」 ご主人様たち、とおれはふたりの間に入った。 情けないことだ。 ふたりはガキに戻ってしまった。スタンは怪我で興奮し、アンソニーは自分のエロい妄想をけなされて傷ついていた。 このままでは仲間割れで、ゲームが終わってしまう。 「デミルは強情だ」 おれは言った。 「たぶん暴力はきかない。このままやれば、おれたちはやつを殺しちまうか、廃人にしちまうだろう」 スタンが何か言おうとするが、 「エロ責めもきかない。ポルノと現実は違う。やつは死にものぐるいなんだ。セックスで崩れる人間もいるが、スコット・デミルはたぶんそうじゃない」 アンソニーはかなしげに呻いた。 「おれの夢はかなわないのかよ」 「先にやつをノックアウトしちまえば、かなうよ」 おれは言った。 「先にからだじゃないんだよ。やつの軸――中身を先に折ってやれば強情も張れない」 「中身ってなんだ」 「理想だよ。やつは自分をなんだと思ってつっぱっているんだと思う?」 ふたりは首をかしげた。 「勇敢な男?」 「いやらしい遊びには興味のないヒト?」 おれはわらった。 「先生、でしょ」 |
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