悪党クラブ  第8話

「どうかね」

 クラレンスが仲間を見やる。芝草に肘をついた仲間たちは、

「完璧とはいえんな。命令も一度で聞けないし」

 審査員はきびしかった。先生が最初に、グリフィス先生を拒もうとしたのもチェックされていた。

「それにあれ、失禁だろう」

 最後のは命令を聞いたのではなく、恐怖による失禁だからポイントにならないという。

「フレッドの妨害も考慮してくれよな」

 アンソニーがおむつから顔をあげ、睨む。

「卵がどうだとか。うちのベビーは素直だけど、恥知らずじゃないんだ。あれで調子が狂ったんだぞ」

 親ばかの意見はともかくとして、大便がひっかかったのは事故だった。命令に従おうとしたことは認められ、

「さらなるレベルアップを期待したい」

 が、合格とされた。

 クラレンスは約束どおり、先生に褒美をやると言った。グリフィス先生に向かって、冷かに命じる。

「世話してやれ」

 グリフィス先生は一瞬、息をつめた。
 だが、すぐにアンソニーのそばに膝をつき、デミル先生を抱え起こした。

「ヒッ――」

 デミル先生はあわてて敷物をつかもうとした。また小便させられると思ったらしい。
 だが、グリフィス先生は軽々と先生を抱きあげた。そのまま、包帯を巻いたほうの足を投げ出し、草の上に座った。

 怯えるデミル先生をひざの上に座らせ、自分のドレスの首のボタンをはずす。
 このドレスは前ボタンのようだ。片手で次々とボタンをはずすと、黒いレースのブラジャーがのぞいた。

「うわー」

 アンソニーがいやそうに鼻にしわをよせた。
 だが、さらに信じがたいものが現れた。ブラジャーを引き下ろすと、やわらかな皮膚の塊がこぼれでたのである。

 胸筋ではない。不自然に尖ったふくらみだった。

「おい、あれ」

 思わず声をあげると、クラレンスたちが声をたてて笑った。

「すごいだろ。母乳が出るんだぜ。両方とも」

 グリフィス先生の顔はさすがに赤黒く染まっていた。彼は無表情をつくろい、デミル先生の顔を胸に押しつけた。
 デミル先生も仰天しているに違いない。

「女性ホルモン」

 クラレンスは明かした。
 当初、彼のチームはグリフィス先生にひどく手を焼いていた。暴れ馬にいかにして手綱をつけるか、会議がもたれ、男らしさを削ってやろうということになったらしい。
 かなり乱暴な量が投与された。果たして、乳汁が出て、グリフィス先生は衝撃を受けた。

「そのあとは毎日おっぱいを責めてさ。いま乳首、ヒヨコマメぐらいあるぜ」

 おれたちはおどろいた。グリフィス先生のそばに近寄って、そのドレスをひらく。乳房をあらわにすると、ヒヨコマメは大げさだが、男にしてはやや大きめの乳首が濡れ光っていた。

 二指でつまんでみる。

「ッ――」

 グリフィス先生の首筋が硬くなった。指先に白い汁が垂れている。
 表情を隠したグリフィス先生の顔に、ひそかな緊張が浮かんでいる。
 つまんだ乳首の先をそっと指の腹で撫でると、彼の頬にあきらかにうろたえるものがあった。

「このアマ、乳首だけでイケるんだ」

 クラレンスが隣に立った。グリフィス先生の肩がこわばる。

「見たいか」

「見たいね。ふたりにショーを見せてもらおう」




 おれたちはデミル先生に乳首を吸うように命じた。

「吸うんだよ。咥えるんじゃない。なに遠慮しあってんだ」

 デミル先生はぎゅっと目をつぶり、同僚の乳房を懸命に張り付いていた。
 グリフィス先生も肩をこわばらせて、痛みに耐えている。

「ほら、左手、きちんと揉め。おまえだって、女抱く時はちゃんとやってんだろうが!」

 デミル先生はじれったくなるほど、愛撫が下手だった。小さい乳房に手を触れると、グリフィス先生がたじろぐために、どうしても遠慮がちになる。

「おい、売女」

 クラレンスはいきなりグリフィス先生の髪をつかんだ。

「何とりすましてんだ。まだ男らしいところを見せようってのか。え、おまえはタフガイなのか。鏡見るか?」

 グリフィス先生の目が揺れた。

「す、すいま――」

「申しわけありません、ご主人様、だ。淫売! スカートのなかでおったててるのはなんだ。まだ友だちの前で気取りたいのか」

 グリフィス先生はうすくあえいだ。
 うろたえたように腕をずらし、デミル先生の顔を、強く自分の胸におしつける。

「……」

 グリフィス先生はかすれた声を出した。デミル先生の手をにぎり、自分の乳房を覆わせる。その上から、手を重ね、ゆっくり揉みはじめた。

「……ク――」

 グリフィス先生は眉をゆがめ、かすれた呻き声をたてた。もみしだく指の間に、白いものが垂れる。

「う」

 眉間に深いしわが刻まれた。口がうすく開き、短いあえぎがもれる。雄偉な肩がそのたびに揺れた。
 デミル先生の咽喉が動いている。とまどいつつも、乳首を吸い上げているようだ。

「は、ア」

 グリフィス先生はあごをあげ、浅くあえぎだした。胸を突き出し、大きな左手ではっきりと自分の胸を揉んでいる。指で大きめの乳首をつまみ、せつなげに顔をゆがめる。

「ああ、……はアッ」

「売女、イイか」

 グリフィス先生の目はうるんでいた。

「……イイです」

 ご主人様、とこわごわ付け足した。
 たいしたもんだ、と言わざるを得ない。パパ・クラレンスは完全にグリフィス先生を支配下に置いていた。

 うちの連中を見ると、アンソニーはあっけにとられ、スタンのほうは目をらんらんと輝かせていた。彼はうわずった声を出し、

「クラレンス、あのメイド、食わしてくれよ」

「審査の前でかよ」

 クラレンスは笑った。

「あれはもう合格だよ。な」

 スタンはあわただしくおれたちに同意を求めた。
 アンソニーは肩をすくめた。おれたちは認め、スタンはクリームのチューブをとっていそいそとグリフィス先生の後ろにまわった。

「膝立ちになれ」

 グリフィス先生はデミル先生を放そうとした。

「そいつはそのままだ。しっかり子守りしてろ」

 おれたちは吹き出した。授乳させたまま犯したいらしい。

 グリフィス先生は顔をこわばらせ、デミル先生を抱いたまま身を起こした。腰をたてられないのは、もう勃起しているからだろう。
 その突き出した尻から短いスカートがまくられた。

「ア、ウッ――」

 頑丈な顎がのけぞりかかる。スタンのペニスが彼を貫いていた。
 すげえ、とスタンが歯軋りするように唸った。

「すごく柔らかい。重いし、すごく熱い」

 スタンは興奮し、すぐに腰を揺すり始めた。グリフィス先生は打撃にこわばった。その巨体がどんどんちぢんでいく。

「売女」

 クラレンスが呼びかけた。

「前を見ろ。おまえのまぬけなイク顔を皆さんにお見せするんだ」

 マスターの命令は絶対だ。
 グリフィス先生は必死に首をのばした。

 ――あの強面が。

 おれはぼう然となった。先生の顔は真っ赤で、目をうるませ、魚のように口を開いている。

「ハウッ」

 スタンの手が彼に左の乳房をつかんでいた。荒々しく揉まれてグリフィス先生は悲痛に眉をよせた。

「イッ」

 痛そうな顔とは裏腹に、乳首からはたらたら白いものがあふれてくる。腰がわずかに揺れている。

「アア、ハアッ、アアッ」

 グリフィス先生は悩ましい声をあげた。半開きの口から舌をみせ、あごがのけぞりかかる。
 だが、畏れるようにまたおどおどと顔を前に向ける。

 フットボールの鬼コーチは、従順は牝奴隷に生まれ変わっていた。授乳しながら、生徒に犯され、ためらいがちに腰を振っていた。
 


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