第5話

 おれは廊下に手をついた。手とひざを動かすたびに、錘のような乳房が揺れた。使用人の足音がすぐ後ろについてくる。無遠慮な視線が陰部に這っている。

 当初はアンリの仕打ちに困惑していた使用人たちも、いまは立派な共犯者だ。主人づらして、おれをひきまわす。

「やあ、セクシー」

 使用人が靴先で乳房を持ち上げる。張りつめた乳首が揺れてわずかに痛む。
 尻のうしろからも足が近づく。無造作に内股を蹴り、股を開く。手が触れる。
 おれはただ手とひざで廊下に踏ん張っている。靴先や指で嬲られながら、検査を受ける家畜のように黙ってそこにいる。

「よく濡らしてきたか。今日は皆張り切ってるぜ」




 尻に硬い骨盤がはげしく打ち当たってくる。
 ペニスが内臓を突き、そのたびにゆるんだ肛門からクリームがあふれる。だらだら内股をつたう。

「ア――アッ――」

 突かれるごとに、砂混じりの快楽が下腹を動く。ペニスが脈打ち、腰が浮く。

「おっぱい、すげえ揺れてる」

 ベッドの上からうわずった笑い声がした。
 尻を犯していた男が手をのばし、乳房をわしづかみにする。ぐっと深くペニスをうがち、乳房をつかんでからだを引き上げる。

「うあ」

 痛みに、おれはのけぞった。男がおれのからだを仲間にさらして見せる。
 荒々しく揉まれる乳房が痛い。痛かったが、ペニスは射精感にふるえていた。

「ちんぽドロドロじゃねえか」

「つくりもんでも、感じるんだな」

 胸を掴まれながら、おれはからだをよじっていた。痛みと甘酸っぱい感覚が胸からひろがり、からだがひとりでのたうつ。

「は、――アア」

 腰が浮き、勝手に上下しはじめる。内部の異物に粘膜をすりつけ、たまった重い快楽を噴き出そうとあがく。
 腰を落とすごとに尻穴からぬるいクリームがあふれた。泥のなかで踊るようだ。

「早く代われよ!」

 ひとりが苛立って近づき、胸の手を引き剥がした。

「ヒッ――」

 いきなり乳房に顔が張りつく。乳首を吸いだす。片手で乳房をつかみ、せわしなく揉みながら、音がたつほどに強く吸いあげる。

「アッ――アアッ――」

 ふたりの男に組みつかれ、おれは首をのけぞらせ、檻のような快楽にもがいた。
 騒ぎ、喘ぐ自分の声が聞こえる。ひらいた足がばたばたと床を打つ音が聞こえる。

「ひ、イ、あッ――アアッ!」

 背筋が弓ぞりに張りつめる。悲鳴が遠くで聞こえている。




 パーティーでも同じだ。
 格下げになったことは、すぐに客に知れた。

「ひとつずつ、ひとつずつだ」

「4番にあてろ」

「ぐッ――」

 腸のねじれる痛みに冷や汗が流れる。おれはあえぎ、台にかがみこんだ。
 異物ではちきれそうになった腹が痛む。もがき、大きな塊を出そうといきむと、

「顔が見えない。ダメだ」

「ヒ――」

 客たちはおれを羽交い絞め、ビリヤード台の上にからだをひらいた。
 腹の皮が異物で異様に膨らんでいる。それを押し出そうとすると、寒気が走った。

「うう、クッ――」

「はやく」

 キューが肛門を突く。うすい皮膚ごしに中の異物を突く。

「んん」

 脂汗をにじませ、腹をふるわせて異物を押し出す。肛門が押し開かれ、木の玉がのぞく。

「よし。四番だ」

「ん――、アア、ハッ――」

 いきんだが、ひっかかったようにそれ以上出ない。姿勢のせいか、力が入らない。うすい生唾ばかりが湧いた。

「おいどうした。それぐらいでへばるなよ。剣闘士だろ」

「リラックスしろ」

 背後から武骨な手が乳房を掴む。しぼりあげるように強く握り締める。

「イッ」

 腰がせり出て、骨盤がひらく。異物を押し出そうと震える。肛門がさらに大きくひろげられ、玉が落ちかかる。

「は、ン――」

 剣闘士といえば、と誰かが言った。

「エステスのチームのやつがまた優勝したな」

 おれの乳房を揉んでいる男が答える。

「二人目だ。やつはいいコーチだ」

「スペツナズの出だっけ」

「ああ。敵にまわしたくないやつだ」

 そうだな、と乳房をひねりあげる。甘い痛みに腰が釣り上がる。

「うッ――」

「エステスは金貯めているって噂だ。地下にいい子がいるんだと。解放されるまでに、そいつを引っ張り出すつもりらしい」

「やつにはできんだろ」

「ファンの旦那がいっぱいいる。あいつのために骨を折ってくれるさ」

「おまえもどうだ」

 キューが肛門にでかかった玉をコツコツと打つ。

「エステスに助けてもらっては」

 台のまわりの男たちが、おれを見ていた。乳房を揉まれながら、ビリヤードの玉をひりだしながら、ライバルの幸運をきく、おれの顔を見守っていた。

「この姿を見れば、やつもおまえが好きになるかもしれないぜ」

 キューが強く玉を弾いた。
 もう、うんざりだ、とはじめて思った。



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