ついに見かねて船長が休憩をとってくれた。
 おれたちはウエリテス兵の監視室で少し座った。

「ホイ、サンタさん」

 ウエリテス兵がホットレモネードをふるまってくれた。奇声が出るほどうまかった。蜂蜜が充血した咽喉に沁みていくようだ。

「見てごらん」

 ウエリテス兵がモニターを示す。

「連中、ガキみたいだぜ」

 モニターにはたくさんのセルが映っていた。セルにはそれぞれ小さなツリーが飾られている。
 その下に、もらったプレゼントを並べる行儀のいい犬もいたが、もう開けてしまっているやつもいた。

 プレゼントはどれもたわいないものだ。CD、雑誌、ゲーム、菓子。高いものじゃない。子ども向けといってもいい。だが、彼らはうれしそうだった。ウキウキとベッドに並べ、ぬいぐるみにキスしたりしていた。

 それを見て、なぜかつらくなった。なぜかよくわからない。うれしいというより、泣きたい気持ちになった。涙をこらえたら、洟が出た。

「行こう」

 見ていられなかった。おれは立ち上がって、皆をうながした。





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